おとぶろぐ

小説とブログを書いてます

fairy rules

夕闇が迫る中、私は友人とキャンプを楽しんでいた。

 

 

ひとしきり遊び終え、テントに潜ると、

友人が持ってきた中古の雑誌を読み漁った。

 

 

その書籍の中の1ページに「妖精の規則」と言うものが記されていた。好奇心に駆られた私たちは、それに従って試しに妖精を呼び出すことにした。

 

 

といっても、ただ妖精の名前を暗闇に向けて3回言うだけ。

 


テントの入り口を開け、深い闇に向かって、

妖精っぽい名前を2人で何回か言ってみた。

 


当然、特に何も起こらず、

友人は「明日早いよ」と言って寝てしまった。

 


私もぼやけたまなこでスマホを弄っていると、目の前が光りだし、光の中から小さな妖精が現れた。妖精は微笑みながら、私の一番の願い事を叶えてくれると言った。また、その代わりに1つのルールを呟いた。

「私に嘘をついてはいけないよ。」

 


私は100万円を受け取った後、妖精を夜の森に送り出した。そして、そのまま眠った。

 


深夜、テントの中で目を覚ますと、妖精が私の枕元に立っていた。その表情は冷たく歪んでいた。

「嘘をついたね…」

妖精の手が私の頬を撫でる。恐怖で声も出せず、身動き一つ取れなかった。

「嘘をつく者は時を失い消えるの。」

その言葉が聞こえた途端、身体は急激に歳を取り、やがて砂のように崩れ去った。

そして精神体だけがその場に残り、ただただその場で浮遊するのだった。

 


私の愛する友人の寝顔をただただ、

私の愛する友人の泣き顔をただただ、

ただただ、その場で眺め続けた。